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田中周二会長 就任挨拶
2010年5月17日
再び会長職を引き受けることになりました田中です。これから第2期目に入りますがこれからの2年間の抱負を述べなければなりません。思い起こして、前回の会長就任のときの挨拶を見ると次の3点を目標とする旨書かれていました。
第1の目標:「巨大化、複雑化、グローバル化するリスクについての研究は、主に金融リスクの研究を中心とする金融工学のみでは、多様な社会的ニーズに十分応えていくことが難しい。また伝統的に保険リスクの研究に特化してきた保険数理学のみでは十分であるとはいえない」という認識の下で、「両者を統合し、更に他の学際的な諸科学で得られた先端研究成果を共有することにより、新しいリスクの研究方法や分析手法、リスク管理技術を発展させ、その研究成果を広く社会へ還元していく必要がある」ということがこの学会の使命でありましたし、これからも重要なテーマではないかと考えます。しかし、この分野のテクノロジーの進歩は日進月歩であり、学会の活動がそれに十分対応できているかというと、まだまだ力が及ばないことを痛感しています。そのためには、多くの若い研究者や実務家に魅力がある活動をもっと進めていく必要があると考えます。幸い、学会には過去に蓄積されたある程度の資金とノウハウがありますので、従来の研究会・研修会の活動に加え、シンポジウムや外国人学者の講演など、やや大きなイベントも企画したいと考えています。
第2の目標:学会の会員は、実務家と大学などの研究者によって構成されていますが、実務家は、主に保険会社や信託銀行やコンサルティング会社で働くアクチュアリーやリスク管理専門家、一方、研究者は、保険に関心のある経済学者、金融工学者、数学者、統計学者などからなっています。現在、個人会員数は200名をやや超える規模ですが、もう少し異分野の人や若手の人に入っていただき、次代を担う人材の育成を進められるとよいのではないかと考えます。
第3の目標:これが最も重要な仕事と思いますが、この分野の良い論文や研究成果がどんどん生まれるような学術的な活動を作り出していくことを目標としたいと思います。現在、JARIPではJARIPジャーナルという論文誌と、「リスクと保険」という実務誌を発行しておりますが、質・量ともまだ満足できる水準に達していないと思います。折角、実務界と学界が参加する自由な場を提供する学会ですので、刺激的な学問的議論を活性化して、日本からも世界に向けて良質の発信ができるようになることが理想です。まだ英文専門誌や国際学会の開催などを行う力はありませんが、長期的な目標としていつの日か実現できれば、素晴らしいことだと思います。
この3つの目標は一部達成されたものもありますが、まだ途半ばのものがほとんどです。特に第2の目標については個人の研究者の会員を是非300名規模まで増やしてゆきたいと考えます、そして第3の目標についてはAPRIAなどの国際会議と連携をとって国際的な活動を増やしたいと考えております。会員各位の一層のご協力をお願いいたします。

